ニッポン西遊記

-JOURNEY TO THE WEST-

概説

~ プロローグ ~

古(いにしえ)の時代からの「記憶」として受け継がれ 今なおその地に聖なる「気配」として刻まれている なにか大いなる「チカラ」のようなもの…。 いったいそれは何なのでしょうか? 社(やしろ)の森林の前にたたずむ時 言葉にはならないその声が時空を越えて 自分の心の奥底に語りかけてきます。 悠久の「過去」の記憶が 可能性に開かれた「未来」に向かって どう歩むべきかの「道標」(みちしるべ)を 暗黙のうちにそっと示そうとしているのかもしれません…。

もしかしたら、「叡智」と云われる もっとも古い記憶の中にこそ 21世紀に生きる現代の私たちが必要としている 人間の「在るべき姿」、「進むべき道」のヒントが 秘められているのかもしれません。

時間は、常に「未来」へと向かって流れており その流れの中にあってこそ 人生と歴史の「創造」があります。 そのため、単に時計の針を「過去」に戻すようなことには 私たちは意味を見出しません。

古来より、「今」も語り継がれている「神話」の中に 時代や風土を越えてなお「意味」を持ちつづけることの出来る 普遍的とでもいうような「物語」を発見することにより それを持続可能な「社会をつくる」ためのビジョンへと結びつけ また「自分の成長」の糧へと繋げていきたいと考えます。

そこで、私たちは「古事記」「日本書紀」をロードマップとして 新たな時代を創造していくためのヒントを得るべく 現代の首都・東京から、神話の舞台となる「西」へと旅立ちます。 古事記が編纂された奈良を皮切りにして 記紀の背景となる九州、山陰、近畿へと足を運びます。

古(いにしえ)の記憶が、 私たちに「気づき」と「直観」を与えてくれることを信じて 『ニッポン西遊記』が今、始まります。

2010年 吉日